密吉の備忘録

一向に整わないところで

無題

私は昔からチケットの半券や人からの手紙を一つのファイルに残しておく性分である。幼少期から引っ越し人生なこともあり、全てを残しているわけではないが、前職で貰った手紙は特段大切に残している。

片付けをしようと久々にファイルを開いたのに、しまうどころか当時の手紙に目を止めてしまったが最後。引っ張り出す始末。一枚ずつめくると、当時の記憶が鮮やかに思い出され、気が付いたら涙が溢れていた。あの子たちの心の中にもう私がいるかどうかはわからない。むしろ、当時蓄えた「生きる力」を存分に発揮し、楽しいこと、嬉しいこと、幸せにたくさん恵まれ、思い出が上書きされているくらいの方が幸せだと思っている。

結婚と県外への引っ越しを機に離れてしまった仕事。たった3年間という短い時間。それでも愛に溢れた濃密な時間だった。当時は必死でその幸せを噛み締める余裕がなく、ああ、もっともっともっと噛み締めるべきだったなと後悔しても時はすでに遅し。コロナ禍真っただ中で県外に出るとは伝えにくく、多くを伝えず発ってしまったことも悔やまれる。ああすればよかった、こうすればよかった。たらればの妄想。新しい生活も丸2年が経過し、3年目を走り出した今。そっと心の隅にしまっておきたいのに。それでも、時々思い出してしまう。笑顔でいるといいな、と。

いつもより開花の遅かった桜。進級の時にちょうど満開を迎えていたのではないだろうか。もう会えることはないかもしれないけれど、いつも心の中でエールを送っているし、もう覚えていないかもしれない「大きくなっても楽しいこといっぱい見つけようね」なんていう約束。もっと色々言えることがあっただろうに。そんなことしか最後思いつかなかった私。言ったからには破るまいと、アラサーになった今でも自分のやりたいことや楽しそうなことを見付けたら素直に、一歩踏み出すようにしている。きっとおばあちゃんになるまで、ずっと。

 

TOP